以前、Xでも投稿したのですが、法律がこっそり変わっていることがあります。
特にメジャーな法律でもある故に目立つからなのか、民法は顕著。
コロコロ改正されているイメージ。
法に関する職務に従事し日々勉強している身としては、それはもう腹が立つほどに。
共同親権への改正は多くの方に知られているかもしれません。
が、しかし、その裏でそれとは別に今般改正になる箇所がありました。
これは、有斐閣のXの公式アカウントでたまたま流れてきたもの。
まず改正部分をお伝えしてから、私の見解をお話したいと思います。
第754条(夫婦間の契約の取消権)
改正前 → 夫婦間でした契約は、婚姻中、いつでも、夫婦の一方からこれを取り消すことができる。ただし、第三者の権利を害することはできない。
改正後 → 削除
第770条(裁判上の離婚)
1項 夫婦の一方は、次に掲げる場合に限り、離婚の訴えを提起することができる。
改正前 → 4号 配偶者が強度の精神病にかかり、回復の見込みがないとき。
改正後 → 削除(5号:「その他婚姻を継続し難い重大な事由があるとき。」に含めることにより削除)
さて、これを見た最初の印象としては、結婚のハードルを更に上げたいの?、という感じでした。
夫婦間の取消権の趣旨としては、一方の配偶者が他方から不当な圧力で不利な契約を強いられる可能性があること、夫婦間の約束は夫婦間の愛情をもって解決することが挙げられています。
これが削除されたということは、夫婦間の愛情が考慮されない、結婚はあくまで男女間の契約であるという要素が強まった印象を受けます。
勿論、法律上はそうかもしれません。
しかし、何故、なんのために、つまりどういうことになるのか。
些か疑義が残る改正です。
次に第770条。
何故4号の削除したかというと、5号に含めればよく、わざわざ個別に定めるのは差別ではないかという話が以前からあったそうです。
確かにそうかもしれません。
ですが、5号を盾にして訴えを起こしたところで、それを理由として家裁で認めてくれるのか。
相手がちゃんと生活を送れるようになるまでの準備を整えて配偶者としての責任を果たしてから、などと言い出しそうな気もしますね。
まさか離婚するために不貞行為を行うなども出来るはずはなく。
他の方法で離婚するとすれば、協議離婚しか道はありません。
ですが、重度の精神疾患になってしまった際、正常な意思疎通ができるのか。
くっついたはいいが、離れにくいという可能性が高くなる雰囲気が流れています。
確かに婚姻の自由についての明文はあるけれど(憲法第24条1項)離婚の自由は明文されていません。
ですが、勿論解釈というものがあります。当然に離婚の自由も尊重されるべきだと思います。
またまた様々な問題点が残りそうな今般の改正。
法務省や法学者からの見解を待ちます。
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