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判例の面白話

本日は判例のお話を。

 

日常生活ではあまり馴染みのない言葉ですね。

 

 

まず、判例とはなにか。

 

裁判の先例となる過去に行われた判決のことを指します。

 

それ自体が法律として成り立つものではありませんが、法解釈などで過去の判例を参考にすることもあるためとても重要なもの。

 

 

行政書士は業務上、後見人に関する業務以外で直接裁判所と関わることはありませんが試験ではやはり条文以外にも判例を用いた問題が数多く出題されます。

 

勉強をしていく中で「へぇ~??こうなるんだ…」と思うものも少なからずありました。

 

判例が一般的に知られているルールのようになっている場合もありますし、なんじゃこりゃ?といった聞いたこともないような判決もあったりします。

 

内容を読むと「裁判官も所詮人か…」と思ってしまうようなものも。

 

 

実は今日は、朝から相続や民事関係の判例や事例を調べていたところ、卒倒するような判例が出てくる出てくる。

 

勿論全体で比べれば少ないのかもしれませんが、今日は非常識で理不尽な面白判例をいくつかご紹介いたします。

 

 

まずは「青い鳥判決」 。(名古屋地裁岡崎支部平成3年9月20日判決)

 

原告である妻が被告の夫からの日々の暴力等に耐えかねて離婚を請求したところ、おおむね事実は認めつつも「被告が前記反省すべき点を充分反省すれば、いまなお原告との婚姻生活の継続は可能と考えられるから、原告と被告、殊に被告に対して最後の機会を与え、二人して何処を探しても見つからなかった青い鳥を身近に探すべく、じっくり腰を据えて真剣に気長に話し合うよう、一切の事情を考慮して婚姻の継続を相当と認め」るとして請求を棄却しました。

 

暴力振るってる時点で大問題ですが、「いや、青い鳥探すの協力もしてくれないしそもそもいなかったから今ここに立ってるんだよ」と私だったら大声で言いたい。

 

この後妻は控訴し、和解による調停離婚となったそうです。

 

当時の宗哲朗裁判官は他にも特徴的な判決を下しているようですね…。

 

 

もう一つはスカート覗き見無罪判決。(さいたま地裁平成26年8月19日判決)

 

人通りの多い駅の通路で17歳の女子高生の後ろから四つん這いになりスカートの中を覗き込み、当時39歳の被告が埼玉県迷惑防止条例違反により起訴された事件です。

 

これについての判決文は「四つん這いになって被害者のスカートをのぞくという、非常識な判断を欠いた突発的、衝動的な行為をしており、心神喪失の状態にあったため、無罪である」と記されています。

 

いや、うん、堂々とやっちゃう時点で確かにちょっとおかしいでしょうね。

 

被告は知的障害があったとされていますが、内容を読むと如何せん疑義が残る判決。

 

心神喪失が理由になるなら、危ないお薬を打って実行してしまえば…というのもまかり通ってしまいますよね。

 

実際、覚せい剤を使用してなされた殺人は心神喪失扱いとされ無罪になった判例も見つけました。

 

刑法の問題にもあるのですが、使用前に殺人を犯す意思があったか、使用すると見境なくなることを知っていたが使用した結果殺人を犯したか、もともと意思はなく使用してしまったばかりに殺人を犯してしまったか、という故意の成立の有無やタイミングが問題となってくるのでしょうか。

 

いずれにせよ別途覚せい剤取締法違反等で捕まっているとは思いますが。

 

 

動物を被告にした裁判もあったりと、人の数だけ、いやそれ以上に揉め事があるのだなとしみじみ思います。

 

最近の裁判の話を見ていると、立法・行政のみならず司法も少しおかしくない?と思うことが多々。

 

 

そういえば法廷のドラマも増えましたね。私は今アンチヒーローを見ています。

 

人の人生、ひいては命の運命が決まる重要な機関。

 

特に今は袴田事件が気になっているところ。

 

決して上からの圧力や先入観に左右されることなく、憲法が明記している通り「裁判官の良心」を持って臨んでくれることを切に願います。

 

 

ちなみに私は「尊属殺重罰規定違憲判決」が一番好きです。

 

最初読んだとき、被告人がそうなってしまった経緯も法廷での弁護士の主張にもとてつもないカルチャーショックを受け、涙なしには読めない判例。

 

あのような発言ができる弁護士さんが増えてほしいですね。

 

実はコッソリ司法試験も目指しています。