昨日ネットニュースで『相続放棄が過去最多26万件』という記事を見ました。
第一声は「へー」という感想でしたが、よくよく考えたら今後だいぶ根深い問題になってくるような気がします。
というのも、少子化が話題になっている昨今、祖父母や両親が残してくれた売れそうにもないし手のつけようもない不動産だとか、子供が遠方に住んでおり主に費用面での管理等が大変だということで放棄する件数がまだまだこれから増加するのではという懸念があります。
ここで一つ、知らない方もいらっしゃるかもしれませんが、民法上相続放棄をしても保存(管理)義務は残ります。
ただ、令和5年の民法改正で『その放棄の時に現に占有しているときは』その相続人が管理をするという変更がなされました。(民法940条)
これは被相続人の代理として賃貸をし代理占有(賃貸に出して賃借人が現にいる)状態でも当てはまるものなのか、というのも一つのささやかな疑問。
相続財産清算人の選任を申し立てるという方法もありますが、選任されるまでの間は結局その占有をしている相続人に保存義務が生じます。(誰も占有している人がいない場合は検察官等が申し立てをします)
相続が発生する前に御実家を売却してしまうという方も結構見かけますね。
被相続人に他に居住地が確保できるのであれば、相続登記分の費用が掛からないので、これはある意味賢い方法だと思っています。
認知症になってしまっていたりすると、また別の手続きや問題が出てきてしまうので大変ですが…。(父方の祖母がそうでした)
話を戻しますが、相続放棄したあとそれらの財産はどうなるのでしょう。
相続人となる者が全員相続放棄をしたら、次は特別縁故者がいるか公告がなされます。
特別縁故者とは誰か。
一番わかりやすいのは内縁の妻であったり、被相続人の介護をしていた相続人ではない親族や他人等ですね。
それでも誰もいない場合、相続財産が他の人と共有になっていた場合にはその共有者が取得することになります。
共有者もいない時に初めて国庫に帰属します。
さて、相続放棄が増え、特別縁故者や共有者等もおらず、国庫になる例が増えるとどうなるのか。
宙ぶらりんになった遺産はそれぞれ指定された機関に引き渡すようになりますが、現金はともかく、国と言えども日本全国全ての不動産を管理しきれるのでしょうか。
そしてその管理費には税金が使われます。
空家が増え、治安が悪くなっていく気もします。
また体のいい名称でも付けて増税でごまかすのか?なんて思ってもしまったり。
今後いろいろ課題が多くなりそうですね。
行政書士もお客様のお悩みに寄り添える案件が増えるといいのですが。
余談ですが、令和5年に相続土地国庫帰属制度という制度も新たに制定されました。
いろいろと厳しめの条件はありますが、相続放棄はしたくないけどこの土地は手放したいとお考えの方は利用してみるのもありかも知れませんね。
まあ、これも最終的な管理費は税金ですが。
それでは、今日はこの辺で。
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