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残された不動産について

孤独死、という言葉があります。

 

先日相続のことで調べていた際に、『身寄りのない人や高齢者の一人暮らしが多い。これから孤独死が増える。自ずと事故物件が増えるだろう』という記事を目にしました。

 

確かにそれはあると大きく頷いてしまいました。

 

というのも、私自身、身近で数件孤独死を目の当たりにしているからです。

 

今日はそのお話を少しだけしたいと思います。

 

 

孤独死といっても、単に病気や衰弱死だけでなく、様々な理由で室内で自死する人も少なくありません。

 

これは年齢関係なく、です。

 

以前勤めていた不動産会社でも、仲介で紹介された戸建てが実は室内で所有者が亡くなり発見が遅れてしまっていた物件だったり、管理物件で2件ほど室内で自死をされた方がいた案件がありました。

 

最近でも今月に入ってからお世話になっていた方が、賃借していた事務所内で自死したという悲報が入ってきました。

 

ひどく動揺してしまいましたが…。

 

今の世の状況や高齢化社会が進んでいる今、人口の多い都会だけでなく地方でもこういう事例は珍しいものではなくなっています。

 

 

さて、一人暮らししていた人が室内で亡くなっていた。

 

そうなると困るのは残された家族や大家さん、管理会社です。

 

所有者(被相続人)が室内で亡くなっていた場合、売却する際に心理的瑕疵ということでその旨の告知義務があります。

 

(※衰弱死や不慮の事故、病死等に関しては発見が遅れ特殊清掃などが必要になった場合に限ります)

 

これは例え建物を解体し更地にしたとしても告知義務がなくなる訳ではありません。

 

当然中には嫌がる人も少なくなく、買い手が付きにくい、あるいは購入希望者が出てきたとしても売主側の希望価格よりも低い価格を提示してくる可能性が大きいです。

 

 

また賃貸物件であった場合、3年という時効がありますが、告知義務が生ずる物件はあまり気持ちの良いものではありませんね。

 

勿論安ければ、と気にしない方もいらっしゃいますが…。

 

借り手がなかなか付かない、特殊な清掃が必要となった場合、大家から連帯保証人や相続人に対し損害賠償を請求する可能性も出て来ます。

 

 

自己所有の物件であれば、法の改正により相続登記が義務とはなったものの率先して引き受けたいという相続人は少ないのではと思いますし、またこの事により遺産分割で揉めたりするかも知れません。

 

義務になったとはいっても、ペナルティは『過料』という行政上の秩序を保つための軽微な義務違反に対する罰則なので刑罰とは違い前科等が付く訳ではありません。

 

 

今後このような話は増えていくとなると、一口に相続といってもその財産の種類は不動産や預金、株式、現物、仮想通貨と多岐に渡るため、それぞれの手続きも違く、個別の事例によってもまた必要な手続きや書類も変わってきます。

 

専門家として、より深い知識が必要になってくる。

 

家族の数だけ、相続事例の数がある。

 

法律に携わる身として、常に知識を更新していき勉強を続けなければなりませんね。

 

お客様の疑問や不安にしっかりと寄り添えるよう、日々精進してまいります!