· 

遺言書のお話

本日は遺言書について。

 

皆様はご自身で遺言書を書いたり、故人が書いたものを見た事があるでしょうか。

 

私自身、未だ身の回りでそのような話を聞いたことはありません。

 

一時期エンディングノートが流行りましたが、エンディングノートに記載をしても法的な効力は生じませんのでご注意ください。

 

確かに、よっぽどの財閥や相続関係が複雑になりそうでない限り、遺言書を残しておこうと思う方はまだ少ないのかもしれませんね。

 

かく言う私もつい最近まではその考えでした。

 

しかし、財閥等でなくても残しておくのは結構重要なのではと考え始めています。

 

 

というのも、私の身内の話ですが、、

 

一昨年父方の祖母が亡くなって1年以上経つにも関わらず遺産分割の話がまとまっておりません。

 

 

相続人は、私の父と伯(叔)父が2人、一番上の伯父が既に亡くなっておりその子供たち(私からしたら従兄弟)が4人。計7人。

 

詳しい内容は割愛しますが、どうやら従兄弟たち4人うち3人が父達が提案した法定相続分では納得がいかないと、現在弁護士を立ててまできたらしく。

 

弁護士からは、何故こちら3兄弟の考えを受け入れてくれないのか、このまままとまらなかったら調停にいくと連絡がきているそうです。

 

今回の相続に関して、他に祖父母達も長年お世話になっていた税理士の先生も関わっており、彼も大変疲労困憊しています。

 

まさにとばっちりです。

 

伯父達と父は穏やかに迅速に相続手続きを済ませようとしていたのに…。

 

もし祖母が一筆残していたのなら、ここまで長引かなったのでは、と感じてしまいます。

 

 

自分が亡くなってから親族たちが揉めるのは故人の望む事でしょうか。

 

自分がいなくなった後は相続人が揉めようがどうなろうが知ったこっちゃないという方も勿論いるかも知れませんが…。

 

 

相続で揉めるなんて…と思っていましたが、実際目の当たりにすると自分自身も含め、用意しておいた方がいいのかもと考えさせられます。

 

遺言書が絶対的な効力を持っているとは言えませんが、故人の最期の意思を最優先してもらえるもの。

 

通常は遺言書に従って相続手続きがなされます。

 

 

ん?絶対的な効力はない…とはどういう事?

 

 

例えば遺産分割禁止が書いてあった場合最大5年間は遺産分割はする事はできませんが、それを経過すれば相続人全員の同意のもと遺産分割が可能になります。

 

またそういった禁止が無くとも、同じく相続人全員の同意のもと遺言書とは違う分割割合での遺産分割が出来ます。

 

その場合には全員が同意しているという事を示す為に遺産分割協議書の作成もした方が良いですね。

 

それぞれ遺言書とは違う内容での相続手続きです。

 

ただ、それが出来るという時点で初めから揉める事もなさそうですね…。

 

その他相続人以外の第三者に全て遺産を贈るという内容が遺言書に記載されていた場合でも、遺留分侵害額請求といって遺留分を有する推定相続人(兄弟姉妹以外の相続人)は受遺者に対し法定された遺留分を請求することが出来ます。

 

こちらもまた遺言書とは違った内容での遺贈・相続手続きをする事になりますね。

 

そうでない限り、威力を発するのが遺言書です。

 

 

 

ちなみに遺言書には自筆証書遺言、公正証書遺言、秘密証書遺言の3種類あります。

 

中でも一番メジャーで作成するのに費用もかからないものは自筆証書遺言書ではないでしょうか。

 

サスペンスドラマでも見かけますね。大体お嫁さんが首を突っ込んできて揉めています。

 

ただ、自宅で保管していて相続人に破棄されないだろうか?偽造されてしまわないか?など心配の方もいらっしゃるかもしれません。

 

 

それに関して、比較的最近新しい制度が出来ました。

 

多少手数料(3,900円)はかかりますが、自分で書いた遺言書を法務局に保管しておける「自筆証書遺言保管制度」というものです。

 

私自身も、この制度のここは良いなと思うところがあります。

 

仮に自分で作成した遺言書を自宅で保管していた場合、本当に本人が書いたのか?という事を調べるために家庭裁判所にて「検認」という手続きをしなければなりません。

 

しかし保管制度を利用する事で、予め本人確認の上、法務局に保管をお願いする事で本人が書いたよというお墨付きをもらえるため相続開始時の検認の手間と時間が省けます。

 

迅速に相続手続きを終わらせたい方にはありがたい制度です。

 

 

ただデメリットもあります。

 

ひとつは本人が直接法務局に出向かなければならない為、入院等をされている場合は難しいという点。

 

もうひとつは、法務局が内容までは確認してくれる訳ではないので、もし書き方の方式や内容に不備があった際に遺言書の効力が生じない点。

 

逆に言えば、それをクリア出来るのであれば優秀な制度だと思います。

 

 

今はネットにも自筆証書遺言の書き方を調べればたくさん出て来ます。

 

それでも少し不安…という方は専門家に相談するのもひとつです。

 

一生に一度しか書かないであろう遺言書。

 

調べて書いてみたものの正しく作れているのか不安になるのは当然のことです。

 

当事務所でも遺言書の作成アドバイスをしておりますので、ちょっと相談したい…という方はお気軽にお声がけください。

 

お客様一人一人に合ったご提案をさせていただきます。

 

いうまでもなくお客様のご相談や遺言書の内容、個人情報に関しての守秘義務は遵守いたします。

 

 

余談ではありますが、法律上では「ゆいごんしょ」ではなく「いごんしょ」と呼ばれます。

 

どちらも正しい読み方ではありますが、「いごんしょ」に慣れてると「ゆいごんしょ」という言葉にムズムズする…。