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印紙のお話

さて、本日は契約書に貼付する印紙のお話を。

 

契約書は取引額に応じて印紙を貼る必要があります。

 

一番身近な例だと不動産売買契約書などですね。

 

 

まず、何故印紙を貼らなければならないのかという理由なのですが、小泉純一郎氏が総理大臣だった当時に第162回の国会での答弁で「取引事実が明確化し法律関係が安定化することに着目して広範な文書に軽度の負担を求めるものである」と述べています。

 

つまるところ、印紙貼れば簡単に取消しも出来ないしそれ故に法律関係も安定するし、この制度を持って君たちに貢献してるのだからちょっとお国に還元してね♡ということでしょうか。

 

 

が、ここで疑問がひとつ。

 

電子契約の場合、印紙は不要になることです。

 

え、法律関係の安定化とか言ってるくせに電子だとLINEブロック感覚でなんか簡単にキャンセルされちゃうんじゃない?とか、基本性悪説で考えている私は思ってしまいますが…。

 

単純明快な理由としては、法律の文言が「文書」となっているからでしょう。

 

大きな買い物である不動産売買契約書はまだまだ紙媒体のものが主流ですが、令和3年には不動産業者の義務である買主への重要事項説明も一定の要件のもとオンラインで行うことが許容されているので、今後法がどう変わっていくのか、印紙文化は廃れていくのかなど興味深いものがあります…。

 

 

ここからは本題に。

 

契約書といっても様々な種類があります。

 

どのようなものが印紙貼付の対象となるのでしょうか。

 

ざっくりお伝えすると、「売買・譲渡契約書」「土地等の賃貸契約書」「消費貸借契約書」「運送に関する契約書」(まとめて第1号文書)と請負に関する契約(第2号文書)、「代理店契約書」「業務委託契約書」などの継続的取引の基本となる契約書(第7号文書)が対象となります。

 

また、覚書・合意書により契約書の内容を変更する場合も、変更事項に「重要な事項」が含まれている場合には課税文書となり印紙の貼付が必要となります。

 

重要な事項については、印紙税法基本通達別表第2に一覧表記されておりますのでご興味がある方はご覧ください。

 

第1号文書の例としては不動産売買契約書や営業譲渡契約書、土地賃貸借契約書、金銭消費貸借契約書などですね。

 

第2号文書は工事請負契約書や物品加工注文請書など。

 

 

あれ?この間行政書士にお願いしたとき業務委任契約書にサインしたけどあれは?

 

委任契約は国が定める請負に該当しないため非課税となっています。

 

ただ委任と書いてあってもその内容から第7号に該当する場合には印紙貼付が必要となる可能性は大ですね。

 

委任と委託の違いとしては、委任は業務の「遂行」に対し報酬が発生するのに対し、委託は成果物の「完成」に対し報酬が発生するというところでしょうか。

 

実にややこしや。

 

 

ちなみに、弁護士や行政書士等の士業の領収証も印紙は必要ありません。

 

士業の業務は高度の公共性があり営利目的ではなく商行為に該当せず商法上の「商人」に当たらないため、営業に関しない受取書(国税庁:基通第17号文書の26)となり印紙は不要とのこと。

 

正直なぜ印紙が不要なのかを掘り下げて調べたのは初めてなので、なるほど…という感じでした。

 

では今日はこの辺で!